白い鹿 White Deer

  • 白い鹿 White Deer
30年の時を経て今よみがえる、木版画家とカトリック司祭の神秘的合作

ハンガリー出身版画家の作品と、カトリック司祭の墨書詩による木版画集。二人の作者が「白い鹿」を通して、私たちの魂の旅路を立ち現す。受難を通してこの世を変容させたイエスの生き様をも思わせる「白い鹿」の世界に触れることで、私たちも変えられてゆく。


【作者紹介(版画)】
ヨゼフ・ドミヤン Joseph Domjan
1907─1992年。ハンガリーで生まれ、アメリカで活躍した木版画家。20世紀のハンガリー美術における主要な人物の一人とされる。ハンガリーで最高位の芸術賞とされるコシュート賞やムンカーチ賞を受賞し、中国で100年ごとに選ばれる色彩木版画名匠賞(Master of the Color Woodcut)を西洋人として初めて受賞。その作品は、メトロポリタン美術館を始めとする世界中の美術館に所蔵されており、現在も、中国やアメリカで作品展が開催されている。

【作者紹介(詩)】
押田成人(おしだ しげと)
1922─2003年。カトリック司祭。1963年に祈りと農業の共同体「高森草庵」を信州で始める。世界の精神的指導者たちとの対話のなかで、諸宗教の枠を超えた「地下水の思想」を編んでいく。『ばらのまどい』等の多数の著書がある。

白い鹿の招き

白い鹿とは
 木版画家とカトリック司祭が不思議な導きにより出会い、『白い鹿』は誕生しました。この度、現代の私たちへのメッセージに富んだ本書が、大判であった一九八六年版に比べ、多くの方に鑑賞していただきやすい大きさとなって生まれ変わります。
 世界の民話に「白い鹿」という物語があります。押田神父によれば、射られて傷ついた白い鹿と、鹿へと変容された森の隠者とが、二匹にして一体であるように見えた、という物語です。これをモチーフとした独特の世界が本書では描かれます。鹿を主体にしつつ、魚や鳥、木の葉などが多彩に描かれるドミヤンの版画は、見る者の眼を楽しませ、想像力をかき立てます。押田神父の墨で書かれた詩は、その想像の世界をより豊かにします。
 キリスト教をはじめとする宗教に流れる「真理」や「神秘」の象徴とも言える〝白い鹿〟。それは、常に私たちの先にいて、私たちの魂の旅路を導いてゆきます。その在り方は、イエス・キリストのようです。イエスが人としてこの世にこられ、受難をうけた末に人や世界を変容させたように、白い鹿も射られて傷つきながら、その傷を通して出会った人を深淵の世界へと誘い、変えてゆくのです。

白い鹿の招き
 私たちはどのように白い鹿と出会うことができるのでしょう。
 自らに執着する存在である私たち。そして、自分にとって都合がよく便利な世界─。そうしたことから離れた世界へ歩み出すことを、白い鹿は促します。自我を捨て去り、隣り人を排除することなく愛することによって、私たちも変えられ、森の隠者のように、白い鹿と一体のようになってゆくことでしょう。
 そのような世界への招きが繰り広げられる『白い鹿』。本書を開いて、その旅を歩み始めることによって、私たちも〝白い鹿〟と出会うのです。

*『信徒の友』2015年10月号より

出版:日本キリスト教団出版局

白い鹿 White Deer

5,500円(本体5,000円、税500円)

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